「店舗開発という仕事」の将来は?~求められる“これまでとは異なる考え方”とは?~
少子高齢化が進む中で今後も店舗をどんどん開ける企業はあるのか?店舗開発の仕事はなくなってしまうのではないか?といった、店舗開発という仕事の将来を危ぶむ声をこの1ヶ月で何回か耳にしました。
これは、まだ若い店舗開発担当の方には深刻な問題かもしれません。
市場が縮小することをどう考えるかですが、多くの方は、どちらかと言えば悲観的になってしまうのかもしれません。しかし、ものは考えようです。
市場が拡大したり、景気が良かったりする時期というのは実力のないものでも勢いで成長できてしまう可能性があるのに対して、市場が縮小したり、景気が悪くなったりする時期というのは“本物”だけが生き残ると考えることもできます。
数は減るかもしれませんが、新規の業態やブランドは常に現れるでしょうから、店舗開発という仕事そのものが無くなることはないと思いますが、つい最近までのように、単に総店舗数を増やすだけのために新規出店を考えていれば良いというわけにはいかなくなるでしょう。これまでとは異なる考え方が求められるようになると思います。
そこでは、個々の店舗の“役割”のより厳密な説明が求められるようになり、“役割”の終わった既存店の閉店やリロケーション、業態転換をも関連させつつ新規出店を考えること、言い換えると、企業全体として必要とされる店舗数を維持しつつブランドの活力を保ちつづけるような店舗網を管理する視点のようなものが必要とされるように思います。そのためには、より大局的な視点で自社の店舗網を捉える訓練をしておく必要があるように思います。そのために一役買うことができるような情報発信ができるよう今後も努めて参りたいと思います。
関連動画(店舗開発という仕事チャンネルより)
知られざる「店舗開発という仕事」の内容をこの道25年の「店舗開発実務講座」講師が解説。業務フロー、開発担当者の心構えや、業務効率化の留意点などもお話します。
- 00:00 簡単に言うと店舗を開店させる仕事、なのですが…
- 00:36 店舗開発という言葉を初めて知ったのはいつですか?
- 01:03 世の中や社内で正しく理解・認識されていない業務
- 01:16 よくある誤解:店は容易に、開けたいときに、開けたいところに開く?
- 01:37 店舗が“売れない”と開発のせいにされ、売れても褒められない
- 02:00 なぜそのような誤解が生まれてしまうのか?→小売・サービス業の知識は「目先の顧客に対応することや店内環境に関するもの」が中心。店舗はあって当たり前、店に客がいて当たり前、が前提となっている。
- 03:05 しかし現実は?→当たり前ではない。立地によりお客様の数やタイプは異なる。出店判断は非常に難しい。
- 4:36 店舗を開けるのは、家を借りるのとは違う!→1.売れて利益を出し続ける店舗を開ける>企業成長が必要2.売れる立地には限りがある>競争>良い立地を巡る戦争である3.現況営業中もザラである>“空いている場所を探す”はバツ4.会社の数ヶ月から数年先の状態を考える必要がある5.立地の恐怖(多額の設備投資が必要)>一度決めると短期的に変更することが困難、開業後の売上・賃料・減価償却などの固定的にかかる費用が決まる>店舗PLに重大な影響
- 10:12 店舗開発の大まかな業務フロー:1.物件提案(物件情報の収集→一時判断→物件調査・評価→売上予測→物件提案)2.社内調整(契約条件交渉⇔担当者⇔社内調整)→出店条件の合意3.社内合意(会議→社内承認→契約締結)
- 12:17 信頼される店舗開発部門になるために:出店のための“きちんとした”事前説明→売上予測、出店計画/不採算店舗を造らない/透明性の高い店舗開発行動→不意打ち的な提案を避ける
- 14:35 店舗開発の業務フローをスムーズにするために:経営計画→出店戦略・市場計画・エリア戦略の全社的共有→物件開発・立地選定
- 15:33 業務フローの難所:肝心な「出店戦略」はどう考えたらいいのか?
- 16:37 店舗開発の業務フローの前後に必要となること:(前)出店戦略→市場計画→エリア計画(後)施工→営業部門への引渡→開店後レビュー
- 18:07 本日のまとめ