演習問題「白金台の商圏分析」

東京都港区白金台は、都内有数の高級住宅街です。幕末から明治にかけて外国人が来日するようになり、彼らを住まわせる場所として指定された地域であったため、その名残で、今でも何となく洋風、高級なイメージがあります。地下鉄の駅も新しくできて、その周辺に商業施設もでき、店舗を開けたい人が一度は出店を検討する地域かもしれません。それでは、今日は、白金台の商圏分析をしてみましょう。

【図1】は白金台駅を中心とした半径500mの範囲の地図、【図2】は同じ範囲の航空写真です。これらを見て、どのようなことを思いますか?箇条書きで良いので、いくつか書き出してみてください。


【図1】白金台の地図 (出所:Yahoo!地図)


【図2】白金台の航空写真 (出所:Yahoo!地図)

例えば、①312号線、1号線、外苑西通りなど、太い通りが走っていますね。これらは商圏を分断するものでした。②大学、高校など教育機関が目立ちます。③お寺も目につきます。航空写真を見ると分かりますが、④意外と緑が多いですね。地図と照らし合わせると、八芳園、東大植物園、公園、大学附属病院があることが分かります。

このような情報を総合すると、高級か否かは別として、住宅として使われている面積は想像以上に小さく、しかもある領域に偏在していることが分かります。

また、買い物と関連しにくい目的で利用される施設が周囲に多いことが分かります。誰がその店舗を継続的に利用し続けるのか?・・・分かりません。

以上のように考えると、白金台は商売をするのは大変な地域であると考えるべきでしょう。出店の立地判断においては、「イメージが良い→商売に向いているとは限らない」という心構えで、商圏を冷静に観察する必要があります。

徒歩客の来店を期待するのは厳しい場合、どうするべきか?自動車での来店を促すことで商圏を広げることが考えられます。その際に必要なものは何でしょう?答えは駐車場です。しかも広くて、駐車しやすい駐車場です。

関連動画(店舗開発という仕事チャンネルより)

■ 「商圏」とは何か?商圏調査・商圏分析の方法は?【店舗開発用語解説】

「商圏」とは何か、定義は?商圏調査・商圏分析の方法や注意事項は?商圏はなぜ把握する必要があるのか?実務に即して簡潔にご説明します。

【目次】

  • 00:00 本日の講義内容
  • 00:31 商圏とは何か?(定義)
  • 01:06 “行き先”の反対語は何か?→その場所の集まりが商圏
  • 02:36 “直前に”の意味~商圏の調べ方と、商圏調査の注意事項~
  • 05:45 商圏を把握する際に注意すべきこと
  • 08:57 既存店の商圏を知らないことによる主な弊害
  • 11:49 商圏を調べる際に、いきなり顧客に尋ねるのは難しい場合は、どうすればよいか?