その地域の土地勘をつける方法~タダでもできる市場調査~
タダでもできる市場調査【フィールドワーク編】
身の回りには、自分の目や手足を使えば、タダで手に入るデータがたくさんあります。それを使わない手はありません。
ここにご紹介するような簡単な調査をするだけで、物件の提案書や売上予測の根拠づけが強化され、ぐっと説得力のあるものになります。
その地域の土地勘をつける方法
■ 各駅停車に乗る
土地勘のない地域の土地勘をつけるために、皆さんはどのようなことをなさっていますか?
電車での移動の際には、特急、快速、急行に乗りがちですが、私は、時間を作って各駅停車にも意識して乗るようにしています。
個人的なことですが、学生時代は各駅停車だけ乗り継いでどこまで行けるかをテーマに日本国内をよく旅行しました。その旅行は今の仕事に役立っていて、経験に無駄なことは無いんだなと最近よく思います。
さて、ある特急の停車駅から次の特急の停車駅まで各駅停車に乗ったとして、そこで何を確認するべきでしょうか?
特急列車と違い、各駅停車の乗客の大半は地元の人たちです。
彼らの話していること、読んでいるもの、食べているもの、買ったものなど、怪しまれない範囲で観察しましょう。
降りる人が多い駅はどこか?乗客の数が少なくなり、乗ってくる人も少ないところは2つの街の境界なのでしょう。しばらく行くと乗ってくる人がちらほら現れ、ある駅でまた多くの人が乗ってきます。次の街にだいぶ近づいているのでしょう。その駅の周りには何があるのでしょうか。
・・・といった具合に、各駅停車に乗ることで、地元の人々の実際の行動の特徴や、2つの街の商勢圏がどのあたりまでかを実感することができます。
商勢圏は地形や土地の起伏などによって形状がことなり、単純に街の中心からの距離だけで把握することはできません。しかし、現地の人々の実際の行動を観察することで、現実に近い商勢圏の形状を推定することもできるのです。
同様に、路線バスに乗ることも土地勘を養うのに有効だと思います。
■ 街を歩く
土地勘の無い街で土地勘をつけるには、とにかく街を「歩き回る」ことです。
では、どのように歩き回ればよいのでしょうか?
私はかつて、ある都市を理解するために、ノートを片手に万歩計をつけて歩いていました。都市の規模にもよりますが時間は最低でも5時間、歩数は最低でも2万歩、3回転と決めていました。
最初は、地図は見ずに、朝あまり人が出歩いていない時間に、主要な道をくまなく歩きます。「〇〇がこんなところに出店している」とか、「このあたりは△△が多いな」、とか、「この店はなんでこんな早くから営業しているのかな」などを思いながら、今自分がどこにいるかも気にせずに、とにかく歩き回ります。
朝は人があまり出歩いていないので、街のどこに何があるかを把握することに専念します。繰り返しになりますが、地図は見ません。地図は歩いてきたルートを記憶して、自分の頭の中に作るのです。
2時間も歩くと流石に疲れますので、どこか人の流れが観察できそうな場所に座って路上を眺めながらお茶を飲むなどして休憩してください。暑い時期は特に。その際に、気づいたことや、これまで歩いてきたルートをノートにメモすると良いでしょう。
さて、3時間も歩くと「ここはさっき歩いた通りだ」とか、「ああ、またここに出てくるのか」といった具合に、一度歩いた場所に再び戻ってくる時が来ます。そうなるとだいぶ土地勘がついたことになります。
昼近くで人通りも増えているはずです。ここからは動線や集客力のある施設を確認するように2回転目に入ります。同じ道でも朝方とは違って見えると思いますし、2回目なので心にもゆとりができ、街に溶け込んできていると感じ始めます。先程のノートのメモに動線や主要な施設を書き入れましょう。
2回転目が終わったら昼食をとりながら、いよいよ地図を見ます。地図が何となく立体的に見えるはずです。自分が2回歩いてきたルートを確認し、まだ歩いていない地域がないか確認しましょう。自分で描いた地図と比べてみるのも良いですね。
3回転目は競争企業の店舗や一等地にどのようなテナントが出店しているか、混雑している店はどこか、などを観察して終わりです。バスや地下鉄を利用するのも良いかもしれません。時間が無い場合はタクシーに乗り、運転手さんに街について質問して情報を聞き出すのも有意義です。体調に合わせて無理のない方法で回ってください。
因みに万歩計と言えば、私は、最も歩いていた時期に歩数を毎日手帳に書き込んでいました。歩幅を50センチメートルに設定し、その年の一年間に歩いた歩数の合計を掛けると1543キロメートルだったことがありました。皆さん、健康のためにも、仕事のためにも歩きましょう。
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