出店で先を越されるのは不利か?ファミマ対セブン観察記~出店に関する法則の考察~

出店に関してはいろいろな“法則”があるように思います。

法則を見つけるのは何のためか?
それは将来の予想に役立てるためです。そのためにも、恐らく将来はこうなるのではないだろうか、という視点で周囲を観察する必要があります。

さて、本日は、競合に先を越されたエリアに後から出店したあるコンビニエンスストアの観察記から、法則の仮説が見つけられるか、考えてみます。

弊社の近所のコンビニエンスストアの話です。これは、あるところで2015年の秋にお話しした内容の続編です。ですがその前に、3年前にそこでお話しした内容を振り返ります。

3年前の話です。ある道路わきに『ファミリーマート』がありました。付近にコンビニはなく、道路を挟んでドラッグストアが1件あるくらいの場所でした(写真上)。
その年の秋、少し行った川の先に『セブン-イレブン』がオープンしました(写真下)。となりには『コメダ珈琲』もオープンし、その辺り一帯が活気づきました。

ファミリーマート八王子かすみ学園通り店

ファミリーマート八王子かすみ学園通り店

セブン-イレブン八王子東楢原店

セブン-イレブン八王子東楢原店

写真上と写真下を比較して分かることは何でしょう?
ちなみに、2店舗の位置関係は図1の通りです。

先にあった『ファミリーマート』と2015年に新たにオープンした『セブン-イレブン』の違いは何か?
それは、区画の車での利用のしやすさにあります。

まず、区画の面積が『セブン-イレブン』の方が圧倒的に大きいです。乗用車だけでなく、やや大型のトラックでも駐車可能です。また、『セブン-イレブン』は交差点に面しており、侵入経路も複数確認できます。この点は、侵入経路が一つで通りに面している『ファミリーマート』と“あるもの”の数に大差をつけます。

ではその“あるもの”とは何か?

下の図をご覧ください。赤い矢印はそれぞれの区画への侵入のパターンを示しています。『セブン-イレブン』は『ファミリーマート』の3倍あります。侵入経路の数と面している道路の数、対向車線から入れるか否かを掛け合わせ、侵入と退出のパターンの数を比べるとより大きな差がつきます。

この数字は、利用客の店舗の利用のしやすさを代表する数字と考えられます。あまり大きな声では言いたくありませんが、この数字はある企業の郊外ロードサイド店の売上にかなり強く関係していたこともあり、車利用の多いロードサイド店は車での利用のしやすさが顧客の定着率や開店後の売上に強く影響すると考えてよいです。

この『ファミリーマート』は苦戦を強いられるな、ということで2015年は終わってしまったのですが、その後はどうなったか?

2018年春のことです。その『ファミリーマート』の状況は写真の通りで、3月30日9時をもって閉店したとのことでした。

3年越しで観察した結果、出店で先を越されるのは不利であるとは必ずしも言えず、「周囲にコンビニエンスストアがないところに先にファミリーマートだけがあり、より利用のしやすい区画にセブンイレブンが後から出店した場合、既存のファミリーマートは大きな打撃を受け閉店に追い込まれるのではないだろうか」という“仮の法則”ができました。

次は、この“仮の法則”と同様のことが別の場所で過去に起こっていなかったか?を調べてみたいと思います。調査対象とする場所は「茨城県守谷市」です。

(続く)